北原白秋『槍持』朗読mp3

槍は錆びても名は錆びぬ、
殿につきそふ槍持の槍の穂尖の悲しさよ。

槍は槍持、供揃、
さつと振れ、振れ、白鳥毛。

北原白秋『瞰望(かんぼう)』朗読mp3

わが瞰望は
ありとあらゆる悲愁の外に立ちて、
東京の午後四時過ぎの日光と色と音とを怖れたり。

七月の白き真昼、
空気の汚穢うち見るからにあさましく、

北原白秋『露台(バルコン)』朗読mp3

やはらかに浴(ゆあ)みする女子(おみなご)のにほひのごとく、
暮れてゆく、ほの白き露台(バルコン)のなつかしきかな。
黄昏のとりあつめたる薄明

北原白秋『片恋』朗読mp3

あかしやの金と赤とがちるぞえな。
かはたれの秋の光にちるぞえな。
片恋の薄着のねるのわがうれひ
「曳舟」の水のほとりをゆくころを。
やはらかな君が吐息のちるぞえな。

北原白秋『あそびめ』朗読mp3

たはれをのかずのまにまに
じだらくにみをもちくづし、
おしろいのあをきひたひに
ねそべりてひるもさけのみ、

北原白秋『おかる勘平』朗読mp3

おかるは泣いている。
長い薄明のなかでびろうど葵の顫えているように、
やわらかなふらんねるの手ざわりのように、
きんぽうげ色の草生から昼の光が消えかかるように、
ふわふわと飛んでゆくたんぽぽの穂のように。

北原白秋『夜ふる雪』朗読mp3

蛇目の傘にふる雪は
むらさきうすくふりしきる。

空を仰げば松の葉に
忍びがえしにふりしきる

北原白秋『秋』朗読mp3

日曜の朝、「秋」は銀かな具の細巻の
絹薄き黒の蝙蝠傘(こうもり)さしてゆく、
紺の背広に夏帽子、
黒の蝙蝠傘(こうもり)さしてゆく、

北原白秋『銀座の雨』朗読mp3

雨…雨…雨…
雨は銀座に新しく
しみじみとふる、さくさくと、
かたい林檎の香のごとく、
敷石の上、雪の上。

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