トップ > 海豹と雲 > 曇り日のオホーツク海

曇り日のオホーツク海

光なし、燻し空には
日の在処(ありど)、ただ明るのみ。

かがやかず、秀(ほ)に明るのみ、
オホーツクの黒きさざなみ。

影は無し、通風筒の
帆の綱が辺(へ)に揺るるのみ。

眺めやり、うち見やるのみ、
海豹(あざらし)のうかぶ潮なわ。

寒しとし、厚しとし、ただ、
霧と風、過がひ舞ふのみ。

われは誰ぞ、あるかなきのみ、
酔はむとも、醒めむとも、まだ。

燻し空、かがやかぬ波、
見はるかす円(まろ)き涯(はて)のみ。

すべての朗読音声を無料でお聴きいただけます。学校教科書付属CD・スマートフォン用アプリ等で採用されているプロの朗読です。なつかしくて新しい、情感あふれる白秋の詩の世界を、朗読によりいっそう豊かに味わえます。メールアドレスを入力して、「朗読をきく」を押してください。すぐに専用ページにアクセスできるurlをメールでお届けします。

携帯電話には届きません。パソコンのメールアドレスを入力してください。



メールマガジンの読者サービスとして無料公開するものです。後日メールマガジン「左大臣の古典・歴史の名場面」をお送りさせていただきます。すべて無料です。不要な場合、いつでも配信停止できます。当無料ファイル送付とメルマガ配信以外にメールアドレスを使うことはありません。第三者に開示することはありません。

解説

北原白秋は大正14年(1925)7月鉄道省主催の「樺太観光団」に吉植庄亮と共に加わります。 この「曇り日のオホーツク海」をはじめ「海豹と雲」に収録された多くの作品はこの旅行で見た光景が元になっています。

紀行集「フレップトリップ」、歌集「海阪(うなさか)」もこの旅行から着想を得ています。

また樺太行きの帰路、白秋は北海道を旅し、その印象をもとに有名な「この道」を書きました。