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物臭太郎

物臭太郎は朝寝坊
お鐘が鳴っても目がさめぬ、
鶏(こけこ)が啼いてもまだ知らぬ。

物臭太郎は家持たず、
お馬が通れど道の端、
お地頭見えても道の端。

物臭太郎はなまけもの、
お腹が空いても臥てばかり、
藪蚊がさしても臥てばかり。

物臭太郎は慾知らず、
お空の向うを見てばかり、
桜の花を見てばかり。

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解説

昔話の「物臭太郎」です。童謡集「とんぼの眼玉」収録。初出「赤い鳥」大正8年(1919年)5月号。物臭太郎は後に都へ出てキレイな奥さんを得て、出世して戻ってくるのですが、北原白秋の童謡ではそういうドラマチックな展開よりも、物臭太郎がのんびりしていた時代の、叙情的な空気を膨らませています。

この比重の置き方は大好きです。「物臭太郎」の後半は、急に太郎がマジメになって、面白くない気がします…

ものぐさ太郎』←こちらで朗読しています。

物臭太郎のあらすじ

昔、信濃国筑摩郡あたらしの郷という所にものぐさ太郎ひじかずという男がいた。大変な怠け者で、垢・ノミ・シラミにまみれても気にしなかった。みんなが働いている間、一日中歌ばかり作っていた。家もなく、四本の竹にコモを乗せて小屋にして住んでいた。

ある時村人がものぐさ太郎に餅を5つくれた。太郎は4つをたちまち平らげた。残る1つを大事に取っておいた。ところが餅を腹の上に乗せて寝ていたところ、道のほうに転げおちてしまった。

太郎は「誰か拾ってくれるだろう」と待つことにした。(自分で取りにいくのがめんどくさいから)

3日して地頭の一行が通りかかった。太郎は「餅を取ってくれ」と声をかけるが無視される。太郎はキレた。「落ちている餅を拾うくらい大した手間じゃなかろうに。とんだ物臭がいたもんじゃわい。よくそれで地頭がつとまる」と怒鳴る。

地頭は「面白いヤツ」と思い、名を尋ねると、物臭太郎だと。あ、お前があの有名なということで、領内にお触れを出す。「物臭太郎に一日食事を二度、酒を一度与えよ。さもなくば領内から出て行け」と

村人は理不尽なお触れに困ったが仕方ない。三年間物臭太郎を養った。

3年目に国司から村にお触れが出た。都に一人労働者を差し出せと(税金的な意味あいで)。村人たちは相談のすえ、厄介払いできてちょうどいいということで、物臭太郎を上京させることにした。「都にはいい女がいる」とかおだてた。

太郎は都でマジメに役目を果たした。そして帰郷できることになった。帰郷を前に太郎は女房を探すことにした。

宿屋の亭主の言葉に従い、太郎は清水寺の前で女を物色した。とうとう気に入った女が通りかかる。太郎はいきなり抱きつく。

女は太郎に歌による謎かけをするが、太郎は歌が得意なので、さっさと答えてしまう。そして家まで押しかけてくる。そこでも歌の問答をして、ついに根負けして、太郎の歌の能力に感心もして、女は太郎を受け入れる。

女は下女に命じて太郎を風呂に入れてキレイにすると、なかなかいい男だった。それに歌がうまい。太郎の評判はどんどん大きくなり、ついに帝の耳に入る。

太郎は帝の前で歌を詠んで感心される。帝がすぐに太郎の出自を調べさせると、仁明天皇の第二皇子二位の中将が信濃に流された時に善光寺如来に祈ってできた子ということだった。

帝は太郎を信濃守護職に命じた。こうして夫婦で故郷に凱旋した。