北原白秋『赤い木太刀』朗読mp3
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赤い木太刀をかつぎつつ、
JOHNはしくしく泣いてゆく。
水天宮のお祭が
なぜにこんなにかなしかろ。

悲しいことはなけれども、
行儀ただしく、人なみに
御輿のあとに従へば、
金の小鳥のヒラヒラが
なぜか、こころをそそのかす。

街は五月の入日どき、
覗き眼鏡がとりどりに
店をひろぐるそのなかを、
赤い木太刀をかつぎつ、
JOHNはしくしく泣いてゆく。


白秋の故郷、柳川では五月三日から五日、沖端水天宮祭と称するお祭りが開かれます。

舟舞台を浮かべ、お囃子や芝居が奉納され、それを両側の岸から見物するのです。街路には露天が立ち並びます。

JOHNはトンカ・ジョン。子供時代の北原白秋はこう呼ばれていました。

なぜ「赤い木太刀」を担いでいるのか?この「赤い木太刀」は何なのか?露天で買った子供用の玩具か?

またはお祭りでやる子供芝居の小道具かもしれません。「思ひ出」序文の中に、木太刀を持って芝居の練習をしていたところGONSHAN(良家のお嬢さん)と眼があって台詞を忘れてしまった場面が描かれています。

いずれにしても「赤い」という言葉に、玩具ぽい雰囲気があると思います。注釈も見つからなかったので我流の解釈ですが。

JOHNは、お祭りというめでたい日なのにはっきりした理由もなく憂愁に取り付かれています。少年の日のわけのわからないメランコリーでしょうか。

「金の小鳥のヒラヒラ」これもようわからんですが、なんか紙吹雪みたいなもんでしょうか。祭りの飾りつけでしょうか。それがヒラヒラ舞っているのを見て、むしょうに寂しくなってきたと?

「覗き眼鏡」はカラクリの見世物で、レンズを通して絵を覗くと立体的に見えるやつです。江戸時代に輸入されました。

考え始めると疑問だらけですが、そういう細かいことよりもこの、全体を流れるけだるい空気。これが大切と思います。

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