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安寿と厨子王

山椒太夫その一

人買舟にさらわれた
安寿厨子王、姉弟。
 山椒太夫はおそろしい。
 姉と弟は買われます。

父さまこいし、筑紫潟、
母さまこいし、佐渡ケ島。
 山椒太夫がいふことに、
 汐汲み、柴刈り、日に三荷。

安寿は浜へ、汐汲みに、
柄杓手にもち、肩に桶。
 厨子王山へ柴刈りに、
 手には刈鎌、背に籠。

姉の汐汲みはかどらぬ。
柄杓は波にさらわれる。
 弟柴刈りかわいそう、
 柴は刈れずに指を切る。

父さまいし、筑紫潟、
母さまこいし、佐渡ケ島。
 夜は夜とて浪の音、
 山椒太夫の眼が光る。

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解説

森鴎外「山椒大夫」で有名な「安寿と厨子王」です。あらすじ↓

安寿、厨子王の姉弟と母は流罪になった父、岩城判官正氏を訪ねて越後直江津へ行くが、人買いに捕まってしまう。

母は佐渡へ流される。安寿と厨子王は丹後由良湊の長者、山椒大夫に売り飛ばされ、そこでヒドイ労働を強いられる。安寿は厨子王を逃がした後、入水する。

厨子王は姉から渡された地蔵菩薩の霊験により守られて京へ逃げ延び、帝から父の赦し状を下される。出世して国守となり山椒大夫に復讐し、盲目となった母と佐渡で再会する…

陰惨な話です。もともとの説教節は二人に加えられるイジメの描写をかなりねちこく語ったようです。子供の頃みたアニメの「小公女セーラ」を思い出しました。胃が痛くなる作品でした。もとは高貴だったものが落ちぶれてヒドイ目にあう構造は「安寿厨子王」とも通じます。

北原白秋のこの詩は、物語性をバッサリ捨てて、安寿、厨子王の可哀想っぷりに焦点をあてています。

夜の海岸でザザーと浪の音を聞きながら、山椒太夫に怯えつつ、遠い浜辺で母さま父さまもこの波の音を聞いているのかしらと涙目な二人。その、可哀想な、侘しい感じで朗読しました。