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接吻

臭のふかき女きて
身體(からだ)も熱くすりよりぬ。
そのときそばの車百合
赤く逆上(のぼ)せて、きらきらと
蜻蛉動かず、風吹かず。
後退(あとし)ざりつつ恐るれば
汗ばみし手はまた強く
つと抱き上げて接吻(くちず)けぬ。
くるしさ、つらさ、なつかしさ、
草は萎れて、きりぎりす
暑き夕日にはねかへる。

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解説

初めての?接吻を描いた詩です。経験豊富なおねえさんがいたいけな少年を たぶらかしてる感じでしょうか。ムワッと女の臭いが蒸せる 強烈なエロさです。島崎藤村「初恋」のすがすがしさと なんと違うことか。

まさに興奮が、エロエロに高まった瞬間、ふと眼をそらすと真っ赤な車百合が 。その赤が眼に飛び込んだのです。こういうショッキングな色彩の使い方は 北原白秋の詩には多いです。「カステラ」「石竹の思ひ出」など。

草が萎れてきりぎりすがぴょんこぴょんこ跳ねている。もうわけがわからないワーーッという 興奮状態をよくあらわしてます。舌も入れられ、にちゃにちゃとのたくってるに違いない。