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時は逝く

時は逝く、赤き蒸気の船腹の過ぎゆくごとく、
穀蔵の夕日のほめき、
黒猫の美しき耳鳴のごと、
時は逝く、何時しらず、柔らかに陰影(かげ)してぞゆく。
時は逝く、赤き蒸気の船腹の過ぎ行くごとく。

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解説

北原白秋の例えは秀逸です。時間の流れを例えるのに、「矢のように」とか、陳腐な表現ではなく 「黒猫の美しき耳鳴のごと」…。
スゴすぎて意味がわからんのですが、ピィィィーーーンと黒猫の耳に耳鳴りが 響いて、フェードアウトしていく感じでしょうか。

それともニャオーーと黒猫の声が夜道で響いている、つまり「聞く」主体は人間なのか?

いろいろ考えさせられる比喩です。

こういうの見ると、日常生活の中でも、なんかカッコいい比喩を使いたくなります。

(注)穀蔵の夕日のほめき…北原白秋の生まれた北九州の柳川は、川沿いに昔ながらの白壁の蔵が立ち並ぶ町でした。夕陽に照らし出された蔵の白壁の幻想的な美しさは、白秋の子供時代の原風景なのでしょう。「ほめき」は、火照りの意味で、白秋が好んで使う単語です。