トップ > 思ひ出 > 

堀端に無花果(いちじく)みのり、
その実いとあかくふくるる。

軟風(そよかぜ)の薄きこころは
腫物にさはるがごとく。

夏はまた【おふし】の水馬、
水面(みずのも)にただ弾くのみ。

誰か来て、するどきナイフ
ぐざと突き刺せよかし。……

無花果は、ああ、わがゆめは、
今日もなほ赤くふくるる。

すべての朗読音声を無料でお聴きいただけます。学校教科書付属CD・スマートフォン用アプリ等で採用されているプロの朗読です。なつかしくて新しい、情感あふれる白秋の詩の世界を、朗読によりいっそう豊かに味わえます。メールアドレスを入力して、「朗読をきく」を押してください。すぐに専用ページにアクセスできるurlをメールでお届けします。

携帯電話には届きません。パソコンのメールアドレスを入力してください。



メールマガジンの読者サービスとして無料公開するものです。後日メールマガジン「左大臣の古典・歴史の名場面」をお送りさせていただきます。すべて無料です。不要な場合、いつでも配信停止できます。当無料ファイル送付とメルマガ配信以外にメールアドレスを使うことはありません。第三者に開示することはありません。

解説

性欲が強烈に高まってどこへ持っていきようもない、錯乱しそうな感じです。 赤くふくらんだ無花果の花にその暗示を見ているのです。

「水馬」はアメンボ。アメンボが水面にぴょんぴょん跳ねるが、それは なんら建設的な効果をもたらさず、もどかしい。性欲の持って行き場が無い 自分の状況を重ねているのです。

いっそナイフでグサっとやってくれと、最後はヤケクソな 感じです。北原白秋の時代は今ほどエロ文化が発展してないから青年たちは苦しんだのです。

怪しき思』も近いテーマです。