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夜ふる雪

蛇目の傘にふる雪は
むらさきうすくふりしきる。

空を仰げば松の葉に
忍びがえしにふりしきる

酒に酔うたる足もとの
薄い光にふりしきる

拍子木をうつはね幕の
遠いこころにふりしきる

思ひなしかは知らねども
見えぬあなたもふりしきる。

河岸の夜ふけにふる雪は
蛇目の傘にふりしきる

水の面にその陰影(かげ)に
むらさき薄くふりしきる。

酒に酔うたる足もとの
弱い涙にふりしきる。

声もせぬ夜のくらやみを
ひとり通ればふりしきる

思ひなしかはしらねども
こころ細かにふりしきる。

蛇目の傘にふる雪は
むらさき薄くふりしきる。

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解説

北原白秋は、かなりの酒豪でした。酒にまつわる詩を多く残しています。
また、白秋の生家は九州柳川の造り酒屋です。育った環境からして、酒には縁が深かったわけです。

そうとう飲んでます。ウィーッと、いい心持ちです。
「思ひなしかはしらねども」は、「どういう思いなのかはしらないけれども」の意で、 降る雪に対して言っているようです。

拍子木をうつはね幕の
遠いこころにふりしきる

ここがよくわかりませんでした。主人公は、昼間芝居を観て酒を呑んだのか。しかし、「遠いこころ」とか 言ってるから、それは遠い昔の記憶なのか。
または、拍子木の音は単なる空想で、実際に芝居を観たわけではないのか。
でも、そうやって色々な解釈を試みてみるのも、詩の面白さかもしれません。

部屋で一人で酒を呑む時のBGMとして最適です。