北原白秋『男の顔』朗読mp3
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ふと見てし男の顔は
夜目ながら赤く笑ひき。
そことなく囃子きこえて
水祭ふけし夜のほど、
乳母の背にわれねむりつつ、
見るとなく彼を憎みぬ。
その顔は街の灯かげを、
あかあかと歩みつつあり。
乳母もさは添ひてかたりぬ。
かくて世にわれたただひとり。
大太鼓人は拊(う)ちつけ
後より絶えず戯(おど)けて
嘲りぬ。――われは泣きにき。
乳母に背負われて祭りに行ったのです。
そして背中で寝てしまった。
ふと眼が覚めると、乳母が知らない男と話していた。乳母の恋人か?
その時の、取り残されたような感じが祭りの夜の情緒とミックスされて、
子供時代の苦い思い出として残ったのです。
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