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男の顔

ふと見てし男の顔は
夜目ながら赤く笑ひき。
そことなく囃子きこえて
水祭ふけし夜のほど、
乳母の背にわれねむりつつ、
見るとなく彼を憎みぬ。

その顔は街の灯かげを、
あかあかと歩みつつあり。
乳母もさは添ひてかたりぬ。
かくて世にわれたただひとり。
大太鼓人は拊(う)ちつけ
後より絶えず戯(おど)けて
嘲りぬ。――われは泣きにき。

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解説

乳母に背負われて祭りに行ったのです。 そして背中で寝てしまったのです。

ふと眼が覚めると、乳母が知らない男と話していた。乳母の恋人かなあ?

その時の、取り残されたような感じが祭りの夜の情緒とミックスされて、 子供時代の苦い思い出として残ったのです。