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蘭亭の遊び

清らかな蘭亭の流水(ながれ)であつた、
人々は幽かに並んで坐り、
閑(しづ)かな一日の遊びに耽つてゐた。
高山の蔭、
竹林の前、
つぎつぎに朱のサカヅキは流れて行つた。
流るる凡(すべ)てを流れしめ、
淡々として遊んでゐた。

清らかな蘭亭の流水であつた。
人々は軽い雲と心を放つてゐた。
幽人逸士の交わりは
気韻そのもの、
金の微笑そのものであつたか、
何にしても、あの無為の思想と
緑茶の煙とはぽうとしてゐる。

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解説

水墨集」(大正12)は北原白秋の新境地で水墨画のようなシブイ光景が 綴られます。

落葉松」をはじめ山水を賛美した素直な詩が多いです。言葉や 趣向も白秋にしてはだいぶわかりやすく、スッと入ってきます。

邪宗門」に見られる難解で病的な表現はなくなり、丸くなったようです。

北原白秋の20代と30代の心境の変化をそのままあらわしているようです。

ちなみに「水墨集」が刊行された大正12年は関東大震災の年で、白秋の つくった書斎「木菟(みみずく)の家」が半壊してしまいました。