朝
トラピスト修道院
揺りいづる鐸(すず)のかずの
六つあまり、七つか、八つ。
夜はあけぬ、パン種の
粉かとも花は咲きて。
露ながら、人はあり、
いのりつつ、野に刈りつつ。
しづけさや、よき寺や、
カトリコの朝弥撤(あさミサ)や。
鷹のごと光るもの
山の気に吹きながれて、
美しき八月や、
翼ただ海を指しぬ。
(注)
トラピスト修道院…カトリックの一派、フランスのシトー修養会(トラピスト会)の修道院。
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朗読・解説:左大臣光永