からりはたはた織る機は 仏蘭西機か、高機か、 ふつととだえたその窓に 守宮(やもり)吸ひつき、日は赤し、 明り障子の沈丁花。
北原白秋の詩に何度も登場する「機」のイメージです。 からりはたはた機を織る擬音から始まり、その音が途絶えた 時、窓に守宮が吸い付いき夕陽が差している。 夕陽のさしこむ障子に沈丁花の陰が映っている、その、えもいわれぬ静寂感です。 特に物語性は無いものの、一場面を切り取ったスケッチのような詩です。
次の詩「公園の薄暮」