たんぽぽ
沼の田べりのたんぽぽは、
たんぽぽは、
咲けば、ざぶりと、
波が來る。
たんぽぽ、たんぽぽ、
波が来る。
沼の田べりのたんぽぽよ、
たんぽぽよ、
咲けば、子供が、舟で來る。
たんぽぽ、たんぽぽ。
舟で来る。
解説
子供が舟で「あ、たんぽぽだ」とこぎよせて、その浪がたんぽぽにざぶっとかかる、それだけの話ですが、ほのぼのと古き良き日本の情景が浮かびます。
「思ひ出」の中にも同じく「たんぽぽ」という詩がありますが、こちらは白秋が19歳の頃、自殺した友人中島鎮夫(中島白雨)のことを歌った、悲痛な詩です。
朗読・解説:左大臣光永