WHISKY
夕暮のものあかき空、
その空に百舌鳥啼きしきる。
Whiskyの罎の列
冷ややかに拭く少女、
見よ、あかき夕暮の空、
その空に百舌鳥啼きしきる。
北原白秋の詩の中でもかなり雰囲気がよく、大好きです。なにより
酒にあいます。触覚・視覚・聴覚を
フルに使い、秋の夕暮れの情緒を出しています。そこはかとないエロさも感じます。
これを録音した時はワクワクして自分の声をヘッドホンで聴きながら
ウイスキーを飲みました。
夕暮れの空に百舌が鳴きしきる、その冷え冷えとした情緒の中、
ズラッと並んだウイスキーのビンを拭いている少女の姿を
空想しているのです。まさにメイドさんのヒラヒラひるがえるメイド服の後ろ姿も浮かんでくるのです。
「冷ややかに」は、夕暮れの冷ややかさとウイスキーのビンの冷たさを
懸けているようです。
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朗読・解説:左大臣光永