雪に立つ竹

聖(きよ)らかな白い一面の雪、その雪にも
平らな幅のかげりがある。
幽かな緑とも、また、紫ともつかぬ、
なんたるつめたい明りか。

竹はその雪の面に立ち、
ひとつひとつ立つ。
まっすぐなそれらの幹、
露わな間隔の透かし画。

実にこまかな枯葉であるが、
それにも明日の芽立がある。
影する雲の藍ねずみにも
ああ、豆ほどの白金(プラチナ)の太陽。

こうした午後にこそ閑けさはあれ、
光と影とのいい調和が、
湿って、そうして安らかな慰めが、
おのずからな早春の息づかいが。

聖らかな白い一面の雪、その雪にも
平らな幅のかげりがある。
雪に立つひとつひとつの竹、
それにも緑の反射がある。

解説

「水墨集」というだけあって水墨画のような渋い雰囲気を出しています。 「平らな幅のかげり」がようわからんでしたが、地面に竹の影が さしていることか、それとも竹林自体を言っているのか。独特の表現と思いました。

北原白秋の詩は難解なものが多いですがこの「水墨集」は有名な『落葉松』をはじめ、わかりやすい言葉で書かれた素直な詩が多いようです。

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朗読・解説:左大臣光永